2016年4月12日火曜日

3Dプリントによる膝痛患者オーダーメイド診療実現への挑戦

ギリシャ / イタリア発:ヨアニナ大学( UOI )と伊ローマ市のサクロクオーレ カトリック大学( UCS )研究者は3Dモデリング / 3Dプリントを用いて、膝蓋骨疾患に起因する運動機能障害の診断システム構築に取り組んでいる。

研究者らによると大腿骨、脛骨、膝蓋骨および膝再建ガイドの3Dプリント製作 / 組立を通して豊富な情報が得られ、また解剖で観察されるのと同様の動作をシミュレートすることによって疾患に対する理解もより正確になったという。

Gian Luca Gervasi 氏ら5名の研究者は、このアプローチモデルについてオンライン季刊誌 3D Printing and Additive Manufacturing 上に論文を連名で発表した。それによると、患者の膝蓋骨 MRI 画像から、骨を形成する主要3部分の3Dプリントモデルを作成し、人工腱 / 靭帯から成る再建ガイドを使用して膝関節を作り、様々な力加減でどのように反応するかが具体的に検証できたとしている。

膝痛などの運動器障害の原因は、「膝蓋骨トラッキング不良」を含む膝関節の動作異常が原因だ。この3Dモデリング / 3Dプリントを援用したシミュレーションモデルを検証した結果、解剖で観察されるのと同じ動き方が人工的に再現されていることが確認された。これにより、今後は従来方式よりはるかに安価なこの手法を採用することで、個々の患者の症例に最適な治療を行うことができるとしている。

論文執筆者の1人は次のように述べている。「重要なのは、膝蓋骨が不安定な患者の膝蓋大腿関節の動き方を正しく診断することだ。通例、下肢関節動の精密解析に用いられるモーショントラッキングによる解析( 例えば光電子工学システム )では共に動く皮膚上のマーカーの影響も受けるため解析は難しくなり、誤った結果が記録されてしまう。回避策としてダイナミック MRI や CT スキャン、超音波システムを使用するという選択肢もあるが、いずれも高コストであり、放射線を使用する場合は患者の被爆の問題もある。その点、積層造形技術[ AM ]の長所はどんなに複雑でも、ほとんどどんな形状にも製作できる能力にある」。

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