2016年4月30日土曜日

テラヘルツイメージングに利用可能な3Dプリントレンズを開発

米国イリノイ州発:電磁波開発において最後のフロンティアと呼ばれているのが、「テラヘルツ」波( 周波数1THz = 300 µm  )だ。ノースウェスタン大学 Robert R. McCormick 校工科 / 応用科学科准教授 Cheng Sun 氏らの研究グループはこのほど、テラヘルツイメージングに対応可能な新型レンズを3Dプリント技術を用いて開発、成果を 4 月 22 日付 Advanced Optical Materials 電子版上に発表した。この研究は米国立科学財団 ( NSF )の支援を受けている。

 Sun 氏および論文筆頭著者 Fan Zhou 氏によると、このレンズは新しいメタマテリアルを使用した屈折率分布型( GRIN )レンズで、テラヘルツ波よりはるかに微小な構造体からできているという。両氏はこの新メタマテリアルを使用し、マイクロステレオリソグラフィー投影( PµSL )と呼ばれるマイクロ3Dプリント技術でテラヘルツ波に絞った屈折率分布を持つレンズを出力した。こうして製作された3D GRIN レンズは空間屈折率を補正して最良の画像を得るため、レンズ収差補正用レンズの追加も不要になり、結果的に低コストで製造できるという。

マイクロ3Dプリント技術 PµSL はテラヘルツイメージングなど、マイクロ構造が必要な製品を高速かつ低コストで製造できる。拡張性にも優れており、設計者の意図した形状に仕上げられる。

このテラヘルツイメージング技術は特にセキュリティチェックに有用だが、安価で高解像度のため他にも応用範囲は広い。たとえばテラヘルツスキャナーは従来のX線による金属探知に留まらず、炭疽菌などの生体兵器やプラスチック爆弾も検知可能であり、しかも人体には無害というメリットもある。

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