2016年6月25日土曜日

英大学が幹細胞入りの新しいバイオインクを開発

英国発:ブリストル大学によると、同大学研究者グループがこのほど、幹細胞を含む新しい3Dバイオプリント用インク開発に成功したと発表した。

同大学分子細胞医学部博士研究員 Adam Perriman 氏によれば、新開発のバイオインクは海藻から抽出した天然素材ポリマーと医療産業界で使用される合成ポリマーから構成される。合成ポリマーは一定の温度まで上昇すると液体状態のバイオインクを固結させ、海藻由来の天然ポリマーは細胞養液に浸した状態で立体構造を維持する役目を果たす。

Perriman 氏は次のように述べている。「新しいバイオインク開発は非常に困難だった。養液中で強度を維持できるバイオプリント素材が必要だった。最終的な組み合わせにたどりつくまで試行錯誤の連続だった。このバイオインクは 37°C になると液体から固体となり、これによって複雑な3次元生体組織の作成が可能になる」。

同開発グループは幹細胞から骨芽細胞と軟骨細胞の分化に成功した。その後5週間かけ、実物大の気管軟骨を含む3Dプリント人工組織を生成した。

「養液注入後、作成した3次元構造から合成ポリマーだけが完全に排出されたのには驚嘆した。バイオプリント細胞内には幹細胞と海藻から抽出した天然ポリマーのみが残され、その後組織内部には無数の微小孔ができ、養分が効率よく幹細胞に取り込まれるようになった」。

同グループによれば、将来的には患者自身の幹細胞から人工膝軟骨組織などの複雑な生体組織作成と移植が可能になるとしている。今回の成果は学術誌 Advanced Healthcare Materials 電子版に掲載されている。

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