2016年10月1日土曜日

超柔軟性を持つ3Dプリンタブル人工骨を開発

米国イリノイ州発:ノースウェスタン大学( エバンストン市 )研究者チームはこのほど、超柔軟性セラミック複合素材でできた3Dプリント人工骨を開発したと雑誌 Science Translational Medicine 最新号に発表した。

同開発者チームの 1 人で論文上席執筆者の生物材料工学者 Ramille N. Shah 博士によると、今回開発したのは骨や歯の主成分ハイドロキシアパタイト( 塩基性リン酸カルシウム ) 90 % 、生分解性ポリマー 10 % から成る「超弾性骨( HB )」をバイオインク化して3Dプリントで出力する技術。HB は切断、折り曲げ、生体組織への縫合が可能で、炎症を起こすこともなく、血管組織も生成できるという。従来のハイドロキシアパタイト製インプラントは柔軟性がほとんどない人造セラミックのため、破損しやすいという欠陥があった。逆に、セラミック以外の素材の多くは組織が稠密すぎて血液が浸透しないなどの欠点がある。Shah 氏と開発チームは生分解性で拒絶反応も炎症も起こさず、血流が浸透する多孔質で柔軟性に富み、外科手術の際に取り扱いやすい、熱処理不要の3Dプリンタブル複合素材を追求した。

この新素材をマウス、ラット、サルにそれぞれ移植して実験したところ、全て骨組織に融合し、新たな血管生成も確認でき、拒絶反応も一切なかった。Shah 博士は、究極的には成長過程の子供の骨組織欠陥の外科療法での応用を目指している。Shah 博士らが開発したこの新技術ならば、子供の成長に合わせて新しいインプラントを製作して再手術する必要もなくなるからだ。もちろん3Dプリントなので、従来製法より安価に MRI 画像などからインプラント作成ができる。

Shah 博士の話「この3Dプリンタブル素材はほとんどがセラミックでありながら、非常にユニークな微小構造特性のため弾性に富んでいる。初めて3Dプリントで出力した時、圧縮 / 変形させてもバネのようにすぐ元通り復元したのでとても驚いた」。




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