2015年10月19日月曜日

3Dプリント人工歯で虫歯菌もやっつけるようになるか? 

オランダ・フローニンゲン州発: フローニンゲン大学高分子化学生体工学部教授 Andreas Herrmann 氏率いる研究者チームはこのほど、殺菌作用を持つ樹脂で人工歯を3Dプリントする技術を開発した。歯を失った人にとっては朗報かもしれない。

同研究者チームによると、従来製法の人工歯や矯正器具などは衛生対策にかかる費用負担が非常に高額になってしまう欠点があったが、新開発の手法では殺菌作用のある第4級アンモニウム塩を市販の光硬化ポリマー樹脂に混合した素材を作り、それを3Dプリントすることで製作する。素材内の陽性に帯電した第4級アンモニウム塩が陰性に帯電した細菌を破壊する作用を利用した。Hermann 教授は、「この素材は接触する細菌類を破壊する一方、人体細胞には無害だ」と述べている。

研究者チームはこの新開発素材で人工歯やブレースを3Dプリントして試作し、ミュータンス菌と唾液の混合物を塗布して実験した結果、ミュータンス菌の 99 % が破壊されることが確認された。第4級アンモニウム塩なしのサンプルでは破壊されたミュータンス菌はわずか 1% 未満だった。

現時点では市販の歯磨き粉との耐性など、商品化されるまでにはまだ数多くの試験が必要だ。Hermann 教授は次のようにも述べている。「今回開発した技術は今後の医療応用のあり方も示すだろう。新薬をゼロから開発するよりはるかに短時間で済むからだ」。

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