2015年2月10日火曜日

B.C. の3Dプリント関連企業5社

カナダ発:3Dプリンターの低価格化と関連アプリケーションの拡充が進行中の今、世界中の起業家、ホビイスト、アーティスト、そして一般消費者も3Dプリンティングに強く惹きつけられ始めている。

バンクーバー市にあるカナダ西海岸最大級のメイカースペース MakerLabs の共同設立者 Derek Gaw 氏は言う。「起業家からアーティストまで、様々なメイカー達がとてつもない製品を作っている。3Dプリントの持つ可能性に気付いた彼らの顔の輝きを見るだけで、もう満足だ」

以下、ブリティッシュコロンビア州で3Dプリントサービスを提供する個人と企業を5つ紹介する。

Corbel 3D は「自分撮り」3Dフィギュア出力サービスから、映画製作者、視覚効果プロデューサー、エンジニア、不動産業者、ビデオゲーム開発者、歯科医、外科医、建築家といったプロユース対応品質の3次元スキャニングと3Dプリントも請け負う。同社はバンクーバー市で創業したが、特殊効果産業への3Dプリントビジネスを展開すべく、昨年5月に本拠を内陸のエドモントン市に移転した。

同社の個人向け3次元スキャニングサービスでは、128 台のデジタルカメラで全周撮影した被写体画像をつないだ3次元データを基にミニフィギュアを3Dプリントする。フィギュアはポリマー樹脂製で、撮影後1週間ほどで完成する。5インチ( 12.7 cm )モデル1体の価格は 250 CAD、6インチモデルは 340 CAD。

Aspect Biosystems Ltd. はブリティッシュ コロンビア大学でコンピューター工学を教える Konrad Walus 氏と同大学の研究施設に所属する細胞生物学者 Sam Wadsworth 氏などの混成チームからなるバイオプリント会社で、2013 年 11 月に設立された。従来方式による新薬開発には巨額の開発費用とリスクが付き物だったが、同社はこの問題を3Dバイオプリントによって解決しようとしている。

同社 CEO Walus 氏は8年ほど前からバイオプリンティング研究に取り組んできた。現在、同社には3名のエンジニアと2名の生物学者が所属している。目下、Walus 氏らのチームは、肺線維症患者に検査薬を確実に投下可能な人工気道組織3Dバイオプリントに従事している。将来は移植可能な人工臓器の3Dバイオプリント技術を開発したいとしている。

Wiivv Wearables Inc. は5年前、Louis-Victor Jadavji 氏がバーナビー市で開かれた競技会場で走り高跳びの最中に着想された。膝関節を脱臼した Jadavji 氏は矯正器具を特注したが、「慣れるのにかなりの苦痛を伴った。こんなので本当に良くなるのか、今考えても非常に非科学的だった」。

それ以来、同氏はオーダーメイド インソールの価格をもっと下げられないか模索してきた。自動車部品の3Dプリント体験を経て、この新しい技術こそ、求めていた答えになるかもしれないと考えた。

昨年7月、友人の Shamil Hargovan と共に、バンクーバー市で Wiivv を起業、次世代型オーダーメイド矯正器具の開発と販売を目指した。来月から、同社は3Dスキャンと3Dプリントによるオーダーメイド インソールの製造と販売を開始する。顧客はスマートフォンの専用アプリを使用して自身の足のサイズを計測し、それを同社サイト上のカスタマイズ エンジンに送信、そのデータを基に
3Dプリントする仕組み。インソールは医療用ナイロン製で、販売予定価格は 99-175 USD 。最安価製品は従来製品の 800 分の1の出費で入手できる。

また同社は矯正器具にバイオセンサーを追加し、歩幅や消費カロリーといった記録も残せるように改良する予定だという。

ビクトリア大学機械工学科教授 Nick Dechev 氏は、手の切断手術を受けた中南米諸国の人々のための3Dプリント義手の開発に従事している。

同氏が義手の設計を始めたのはトロント大学修士課程在籍中の 1999 年だったが、当時は高額だったため、その後 15 年間、保管されたままだった。そこへ登場したのが、3Dプリントという白馬の騎士だった。

3Dプリンター価格の急激な低価格化が始まった5年前、Dechev 氏は自分の開発した義手がついに日の目を見ることを確信した。

Dechev 氏と数名の学生達は、低賃金国の貧困層の健康向上を目指す連邦政府出資の団体から資金援助を得て、義手の3Dプリント化に着手。従来方式では製作費用が 10,000-18,000 CAD もかかっていたのと比べ、こちらは 200 CAD ほどしかかからない。

グァテマラやアフリカの一部、東南アジアでは戦争や糖尿病といった理由で手足を失う確率が依然高い。同氏は言う。「そういう事態に陥ると、たちまち社会の最下層へと落ち込む。これはあまりにもむごいことだ。グァテマラでは中間層でさえ人工装具を買うことができない」。

「 Victoria Hand 」と名付けられた同氏開発の3Dプリント義手は 49 のパーツおよび鉄ピン、ネジ、バネから構成され、プリント完成まで 20 時間、組み立てには3-4時間を要する。「 Victoria Hand 」はデリケートな動作にも対応し、刃物類、鉛筆、歯ブラシ、靴紐なども楽に扱えるという。「指は閉じることもできるし、完全ではないがそれぞれの指を動かすこともできるので、様々な形状の品物もつかむことができる」。Dechev 氏は、10 月にも現地で実地試験に臨みたいとしている。

Eugene Suyu 氏は 2010 年、サイモンフレーザー大学在学中に3Dプリントに夢中になった。そして、世界中の家庭と教育機関には手頃な価格のデスクトップ型3Dプリンターが必要になると感じた。同氏と3人の友人がバンクーバー市で起業した Tinkerine.com の最新作が、「 DittoPro 」だ。昨年5月にリリースされたこの3Dプリンターは同社の第3世代機種で、販売価格は 1,999 CAD。環境にやさしい PLA フィラメントを採用している。

「 DittoPro 」はオンラインマガジン「 Make: 」サイト上で、「美しいデザインと性能がマッチした3Dプリンターで、廉価機種ながら、上位のベスト3Dプリンター数機種に匹敵するスコアをマークしている」と評価された。ユーザーフレンドリーでインテリアにもなる3Dプリンター作りを目指す同社はまた、3Dプリント教育にも力を入れている。

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