2015年2月1日日曜日

損傷した気管を修復するバイオ3D再生技術を開発

米国サンディエゴ発:ファインスタイン医学研究所は現地時間1月 28 日、サンディエゴ市で開催された「第 51 回 米国胸部外科医学会年次総会」において、3Dプリント技術を応用した新たな気管修復 / 復元術を開発した発表した。

発表したのはホフストラ大学ノースショア LIJ 医学部博士課程に在籍する Todd Goldstein 氏。同氏はノースショア LIJ 医療システム 外科医チームと共同で、1年がかりで3D技術を用いた気管修復術開発に取り組んできた。

Goldstein 氏らの開発した方法は、「 MakerBot Replicator 2X Experimentalを使用して、一方のノズルから PLAベースのバイオ素材から成る足場材を、もう一方のノズルからは軟骨細胞やコラーゲンなどからなるバイオインクを吹き付けて軟骨組織を生成するというもので、長さ5cmの気管組織なら2時間以内で生成可能だとしている。生成後、バイオリアクターに入れて均一に増殖させて移植する。これは3Dプリントと組織再生医療とを組み合わせた手法で、腫瘍や気管内チューブ挿管術、鈍的外傷等で傷ついた気管組織の修復と復元に役立つという。また同氏によれば、バイオリアクターも手持ちの別の MakerBot Replicator を使用して既存の培養器を改造したもので、足場材生成に使用したのも市販の PLA フィラメントだという( 加熱時に殺菌されるため安全だとしている )。

Goldstein 氏は次のように述べている。「気管組織の3Dプリントは、未だ未開拓の分野。せきやくしゃみなどの動作に耐え、しかも首は自由に動かせる柔軟性を持たせなければならない。3Dプリントで足場を作れば、その都度外科医が検査して対応できる。人工細胞は3Dプリント中でも損傷しなかったし、その後も順調に分化し続け、気管軟骨細胞から細胞外マトリックスが目論見通り生成された」。

Goldstein 氏らのチームが開発した手法が実用化されるまでにはさらなる研究が必要だが、気管修復術を一変させる可能性がある。とりわけ小児外科に対しては患者の成長とともに柔軟に処置可能なので、その効果は大きいといえるだろう。

参照元記事1
参照元記事2