2015年2月24日火曜日

PING が世界初の3Dプリント製パターを開発

米国発:パッティング時の、いわゆる「アンカリング」を来年以降の競技から禁止する全米ゴルフ協会( USGA )の規則改定( 規則14-1b )を受け、ゴルフ用品製造の老舗 PING はこのほど、業界初となる3D CAD デザイン / 3Dプリントのパターを新開発した。

同社技術部長 Paul Eood 氏は、自宅の MakerBot で自ら3Dプリントを行うメイカーでもあり、材料工学博士でもある。USGA の規則改定を受け、パター開発に当たった同氏は、3Dプリント技術ならこの問題を解決可能だと考えた。従来工法ではどうしても接合部が弱点になりがちだったが、3Dプリントならそのようなデメリットも解消され、より正確なパッティング コントロールが期待できるという。

同社が最初に3Dプリント設計のクラブに取り組んだのは、ロングドライブ用 G25 アイアンだった。しかし実際にテストした結果、従来の鋳造製法の G25 ドライバーと3Dプリント製品とでは差が出なかった。

次に同社がテストしたのがパターで、こちらは予想外の好結果が得られた。とはいえ同社は3Dプリントパターの量産計画はなく、3Dプリントパターは最適なカスタマイズ製品を模索するための体験用として限られた顧客のみに提供する。ゆくゆくはインターネット経由でカスタマイズサービスを展開する計画だが、当面は3Dデザイン /3Dプリント工程のさらなる研究開発を進めるとしている。

Wood 氏は、この3Dプリントパターの販売価格が 7,700-9,200 USD の間になるだろうと見積もっている。同氏が指摘するように、3Dプリントパターはまだ新しい技術であり、そのため価格も高くついてしまうが、3Dプリントによる量産化技術開発が進むにつれて製品価格も下落し、いずれは3Dプリント製ゴルフクラブがさらに手に入りやすくなるはずだ。現在、3Dプリントパターを製造する金属粉末焼結式3Dプリンターの導入費用は約 100 万ドルで、Wood 氏によれば、この工法によるゴルフクラブ製造が普及するまでには5-10 年はかかると見込んでいる。現時点では、パターヘッドの製造だけで 24 時間を要しているが、これもさらなる高速化により短縮されるだろうと同氏は見る( ただし、3Dプリント技術はシャフト製造には不向きかもしれないとも指摘する )。ゴルフクラブは通常工法による製造でも完成まで最低6週間はかかるという。