2015年8月22日土曜日

世界初、実用可能レベルのガラス3Dプリント技術「 3DGP 」

米国マサチューセッツ州発:3Dプリント可能な素材は、今やヒートプラスチックや光硬化樹脂に限らず、金属、セラミック、バイオ素材、食用ペーストと急速に拡大しつつあるが、ガラス素材に関してはイスラエルのエクストルーダーメーカー Micron3DP の開発事例以外は進展がなかった。*

MIT Media Lab メディアアーツ / サイエンス 科准教授 Neri Oxman 氏が同ラボ内に設立した研究ユニット Mediated Matter と MIT 機械工学部および MIT Glass Lab、Wyss Institute はこのほど、ガラス素材の高精度3Dプリント技術を開発したと発表した。

Oxman 氏らが開発した新技術「 3DGP 」は、従来の FDM 3Dプリンターとほぼ同じ要領で、溶融した透明ガラス素材を押し出して造形する。3Dプリンター上部には小型溶解炉が設置されており、ここにガラス素材を投入する。この溶解炉内でガラスは 1,000 °C 以上もの高温で熱せられて溶解する。この溶解炉直下にアルミナ-ジルコン-シリカ( AZS )ノズルがあり、ここから溶融ガラスが押し出されて3Dオブジェクトを造形する。プリントを中断する時は、圧縮空気でノズルを冷却してガラスフローを止める。

このガラス造形用3Dプリンターの外枠はアルミ合金および鉄製で、コントローラー基盤にはオープンソースの Arduino ベース RAMPS 1.4 を使用している。

同グループがテストサンプルとして造形したガラス オブジェクトの平均層高は 4.5 mm、平均層幅は 7.95 mm。彼らによれば、非常に多くの用途に応用可能な「世界初の透明ガラス3Dプリント技術」だとしている。

また、彼らの造形したガラスオブジェクトのうち数点が来年、ニューヨーク市アッパーマンハッタンのクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館に展示される予定だ。

* Micron3DP が開発に成功した3Dガラスプリンターでは 850 °C で半流動状態のガラスを、1,640 °C で完全な溶解ガラスを出力して造形する仕組み。同社は「3Dガラスプリントはアート、医療、セキュリティ、建築、航空宇宙と多種多様な分野での応用が見込まれる。我々は次世代のホットなこの分野での戦略的投資家を求めている」と述べている[ → 関連記事 ]。



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