2015年12月18日金曜日

「ナノ3Dプリント画像」が「世界一小さい印刷画像」としてギネス世界記録に認定

スイス発:チューリッヒ工科大学( ETH Zürich )の研究者グループおよび彼らの設立した Scrona Ltd. は現地時間 12 月 16 日、独自に開発した「ナノ3Dプリント」による世界最小インクジェット画像印刷技術に対し、世界一小さい印刷画像として「ギネス世界記録」に認定されたと発表した。

この「世界最小画像」は人間の髪の毛の断面ほどの極小面積に、「イソギンチャクのそばを泳ぐクマノミ」画像がプリントされている。その面積は僅か 0.0092 mm² ( 80 µm x 115 µm )であり、これは Apple の開発した高精細ディスプレイ「 Retina Display 」の 1 ドットと等しい大きさだ。

このナノ3Dプリント技術でインクとして使用されるのは、量子ドット。量子ドットは半導体的な性質を持つナノ分子で、固有の色調の光を発する。研究者グループによると、サイクル数を変えることで発色が調整可能だという。ナノ3Dプリンターは赤、緑、青 の三原色を正確にレイヤーすることができ、解像度は 25,000 DPI 。ハイエンドレーザープリンターでさえ最高出力は 2,400 DPI に留まるから、10 倍以上もの超高画質だ。

同グループでは、ギネス世界記録として認定されたこと以上に、ナノ3Dプリント技術が達成したナノメートル単位の精確さで各量子ドットを配列させて極小印刷を実現した研究成果のほうがはるかに重要だとし、この驚異的超高画質によってエレクトロニクス、光学、バイオテクノロジー分野におけるナノ構造物質の新たな応用が見込めるとしている。

また Scrona Ltd. は現在、クレジットカード大の薄型顕微鏡「 µPeek 」の資金調達も行っている( 出資者募集期間は現地時間 2016 年 1 月 6 日まで )。

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