2015年12月31日木曜日

ネパール大地震被災地で3Dプリンターが活躍

ネパール発:現地時間 2015 年 4 月 25 日 11 時 56 分に発生した M 7.8 の大地震は死者 8,964 名、そして翌月に発生した M 7.3 の余震でも 200 名の死者を出すという大災害となった。このような大規模自然災害がとりわけ財源の乏しい発展途上国で発災すると、その被害の影響は長期化し、地震発生から半年以上が経過した現在もなお被災者の救援活動が続けられている。

英国の NGO Field Ready イノベーション部担当 Andrew Lamb と同製造部担当の Mark Mellors の両氏は 9 月中旬、ネパール中央部に位置する山村バフラビスに入った。同村では住宅を失った 200 家族が仮設テント暮らしを強いられていた。仮設の水道設備は各所で水漏れを起こしていたが現地に補修用品はなく、テープやビニール袋で応急処置が施されていただけだった。

Mellors 氏は到着した日の夜にノート PC を開いて給水管の継ぎ手を 45 分ほどかけてデサインし、翌朝、被災家族のいるキャンプにランドローバーを走らせて戻るとデスクトップ型3Dプリンターを取り出し、ランドローバーのバッテリーにつないで継ぎ手を作り始めた。2 時間後、完成したばかりの継ぎ手を給水管に取り付けると、漏水は収まった。

Lamb 氏は次のように語った。「国内避難民[ IDP ]キャンプで必要とされる品物をその場で作れることが実証できてとても興奮している。その場しのぎの間に合わせではなく、給水管に正しく適合する継ぎ手を3Dプリントで製作するということは我々の知る限りでは初めてのことだ。現地で必要な物をデザインし、その場で製作して取り付ける。こうした工程が 10 時間ほどで全てできてしまう。この種のテクノロジーの用途として、これはかなり重要な前進だと考えている 」。

Lamb 氏は他の団体もこの手法を採用すれば、救援資材輸送にかかる高額な費用も相当圧縮できるとし、Field Ready では他の被災地域でも現地の住民が自力による生活再建に有用なこの手法の確立に取り組んでいる。現在、同 NGO は国際 NGO World Vision と共同でネパール国内にイノベーションラブ設置を準備中だが、同時にオープンソースの支給品目録 Web サイトを開設し、当該品目を必要とする人全てが無償でダウンロードして使用できる製品デザインを投稿することも計画している。

参照元記事1
参照元記事2